大学で「補綴(ほてつ)第二科」(歯が欠けたりなくなった場合に、詰め物や被せ物、入れ歯などの人工物で補うこと)を学んだ私は、長野での勤務時代から補綴処置が得意となり、必要なものはすべて自分で製作し、治療を行ってまいりました。その作業には、一般的な歯科医院でかけるよりもずっと多くの手間暇がかかり、採算は合わないといっていいくらいでした。それでも私は補綴の仕事が好きで、1日わずか数人の患者さましか診ることができなくなっても、完成度の高い補綴物での治療に注力していました。
そういう時代があったからこそ、ここ沖縄市で開業して以来、いまでも入れ歯や補綴治療で来院する患者さまに適切な治療をご提供できると自負しています。現在では、より多くの患者さまのための時間を割くために、補綴物の製作や修理は信頼のおける歯科技工士に託していますが、要所要所で私がチェックして、必要があれば手を入れて完成度を上げています。
その後、父の闘病に接したことにより、「無呼吸症候群」と口腔内治療との関連に注目するようになりました。いびきがひどく、顎が痛いと訴える父にマウスピースをつくってみると、治療後の状況から、「咬み合わせ」と顎の痛みや歯ぎしり、そして睡眠との密接な関係性を知るに至りました。
そこで、「咬合調整」の専門の先生が主宰する研究会でさらなる学びを重ね、診療の幅を広げました。患者さま自身は気づいていないことが多いのですが、咬み合わせや口腔内の不具合が睡眠の質を左右するキーポイントなのです。それを患者さまに説明し、実際に治療に反映させてみると、ほとんどのケースで体調が改善されたことを体感し、納得してくださいます。
現在では、地域の身近な歯科クリニックとして、より多くの患者さまのために幅広い科目の診療を行っています。だからといって、診療を手短に済ませることはできないので、一人ひとりの患者さまの声を聞き、丁寧に治療を施すというプロセスに日々邁進しています。患者さまの多様なご要望や状況にどんな治療でお応えするのが適切か、ある意味で葛藤しながら診療していますが、それが患者さまの健やかなお口を取り戻すことに還元できれば、これほどうれしいことはありません。
当院での診療は私一人で行うものではありません。私も努力いたしますが、患者さまと接することの多い当院スタッフの丁寧な対応も必要ですし、そして何よりも患者さま自身が、初診でお話しいただく時点から、私と相談して治療法を決めたり、ホームケアを行ったりして、お口の健康をキープできるまで、診療の主役となってともに進んでいただくことが欠かせません。
カントリー歯科クリニックでは、地域の皆さまの健康に尽力できることを喜びとしています。どうぞ、お気軽にご来院ください。今後ともよろしくお願いいたします。